取材を振り返って/小林泰彦
今回は神宮外苑の銀杏(いちょう)並木から青山、六本木と新しい美術館、アートスポットを巡る散歩コースを設定したのだが、その取材を終えてわかったのは、現代のアート愛好家は初めからモダンアートに接してそのままアートの世界へと入って行き、しかも初めからアートを身近なものとして楽しんでいることで、またその主流は女性なのである。旧時代の日本の美術は帝展、日展といった官展の権威の下に展覧会が開かれ、その中心は東京・上野の森で、人々はそれをありがたく観賞して教養の一部とし、しかもその主流は男性だった。そうした構図は官展の崩壊、美術団体の独立、さらに作品を個展で自由に世に問うようになって消滅したかに見えたが、初めからモダンアートに接してアート愛好家になる人々の時代が、六本木アートトライアングルの出現によって決定的となった。アートな雰囲気のカフェで憩い、上質なレストランでアートを語ることも含めて、アートを“楽しむ”時代の到来を大いに祝いたい。





